【はじめに】
コバ処理をするのに必要な物は何だろうか?
ここでは、コバ処理を行う際に必要になる道具/工具類をご紹介します。
ここでご紹介する道具/工具類は、あくまでも私個人(コバ処理.com運営者)がコバ処理に用いるものであります。
人それぞれ・職人それぞれに使いやすい道具/工具類があると思いますし、使用している革の種類によっても若干変わってまいります。
また、コバ処理を行うには、別記事にて取り上げますがコバ処理に使用するコバ処理溶剤も必要になります。
美しいコバを求め日々試行錯誤する中で、色々な道具/工具を試してみたくなり、自然と道具/工具類は増えていくと思います。
自分のコバ処理方法に適した道具/工具類。
そんな相棒を手にし使いこなすことが、美しいコバに辿り着く近道かもしれません。
【コバ処理に使用する道具/工具類】
サンドスティック

薄い板状のヤスリ。
両面仕様で片方が荒目、もう片方が細目。
適度にしなることから、コバにヤスリ面を当てやすく一番使用する機会が多いヤスリです。
ミニドレッサー

ミニドレッサーは金属製のヤスリです。
金属製であるため、その他のヤスリよりもパワフルに削れます。
革に対しては、やや強すぎるヤスリかもしれません。
耐水ペーパー(紙ヤスリ) #400・#1500・#2000・#3000

”ヤスリ”と言えばコレ!!
耐水ペーパー(紙ヤスリ)です。
数字の小さいものほど目が粗く、私が使用している中では#400が一番粗いものとなります。
#400・#1500は削ることが目的で、#2000・#3000が目が非常に細かく”削る”用途というよりも”磨く”用途がメインです。
#2000もしくは#3000の耐水ペーパーは、刃物を軽く研ぐことも出来ます。
おススメはしませんが。
プロクソン ミニルーターセット

スピードを求める方には、この電動ルーターが便利。
先端に取り付けるビットを交換することで、ヤスリがけだけでなく磨きなど様々な用途に使用可能。
回転数がダイヤルで調節でき、一つ持っておいて損はないと思います。
先端が木製の磨き専用ビットも販売されておりますので、色々試してみてもいいのでは?
スエードラブラブクリーナー

元々はスエード等の起毛素材の汚れ落としのための、生ゴムで出来たクリーナーです。
しかし、私はたまにコバからはみ出したボンドの除去や、作業台などに付いたゴムのりの除去に使用しております。
革製品の製作時は作業台にボンドが付着しがちですが、このスエードラブラブクリーナーだと綺麗に取り除くことができます。
よくよく思い返してみると、ほぼ作業台のボンド除去用になっていることに今、気付きました。
刷毛

ヤスリがけを行うと細かい革クズが出ます。
マチの隙間などに入り込みがちな革クズを掃き出すのに便利です。
一本あればずっと使えるので、買っておいて損はありません。
ヘリ落とし 手前1.0mm 奥0.4mm

上記のヤスリ類でヤスリがけをしてきた革。
そのヘリ部分は外側に少し出っ張る形になります。
コバをヤスリがけすると、ヘリ(カド)が立ってきます。
そのヘリ部分を丸く手触り良くするために用いられるのが”ヘリ落とし”。
革の厚みにより刃先幅を使い分けることになります。
例えば、厚い革には1.0mm/薄い革には0.4mmなどです。
フレンチエッジャー 0.6mm

床面を漉いて厚みをおさえる時などに使用します。
コバの厚みを抑えたい時に、床面を漉くことで厚みを抑えることが出来ます。
捻引き 1.5mm

”捻”は、コバ部分(吟面)に縁取りのように入れられるもの。
その目的は主に2つあると考えます。
1、革の繊維を引き締めて、コバ部分の強度の向上
2、装飾的な目的
捻を引く場合、熱を入れて引く場合と熱を入れずに引く場合の2ケースがあります。
こちらの捻引きは、熱を入れないタイプです。
クロム鞣し革に稔を引く際には、熱を入れて引く方がしっかりと引けます。
画像のものは、熱を入れない1.5mm幅で固定されたタイプの捻引きです。
ネジ捻

上記の捻引きのように幅が固定ではなく、ネジを回すことで引く線の幅が調節できるタイプ。
さらに、穴あけの際のガイド線を銀面を傷つけることなく引くことが出来るため、ディバイダーと合わせて持っておくと安心です。
ネジ捻は、1.5mm幅等の狭い幅の線を引く際の調節が難しく、やや幅が安定しない印象があります。
狭い幅の捻引きでは、幅固定式の捻引きが重宝します。
大きめの爪楊枝

染料やコバ処理剤をコバに塗布する際に使用しております。
綿棒・ガラス棒・マドラー等の棒状のものを色々試してきましたが、最終到達点は”大きめの爪楊枝”でした。
たこ焼きを食べる時に使うような、少し太くて長い爪楊枝。
たこ焼きを食べた後の爪楊枝ではないので、ご安心を。
ウッドスリッカー3種

木製スリッカー3種。
それぞれ正式な呼び名(商品名)がありますが、ここでは木製のコバ磨き道具をまとめて”ウッドスリッカー”と呼ばせていただきます。
コバの厚みに応じて、それぞれに掘られた溝で丁度良さそうな幅のものを選択して使用します。
基本的に、密度の高い物(金属やガラス)で磨く方が、早くコバを磨き込めると考えております。
しかしながら、磨く道具自体に、ある程度コバ処理剤を吸収してくれる性質も必要であり、そうなると”木”という素材が最適で最強なのかもしれません。
黒く汚れてくる見た目も、カッコイイではありませんか。
ヘラ付きヘリみがき

プラスティック素材の”ヘラ付きヘリ磨き”は、ヘラ部分とヘリ磨き部分に分割できます。
折り曲げ線を付けたりコバを磨いたり、様々な使い方ができる道具です。
口金押さえペンチ式

本来の使用用途は、その名の通り”口金をおさえる”こと。
しかし私は、貼り合わせた革(コバ周辺)を軽く挟んで確実に接着するために使用しております。
また、コバ部分の革の繊維を圧縮し、コバの厚みを少し薄くする効果もあります。
【まとめ】
以上が、私個人が普段使用しているコバ処理に使用する道具/工具類となります。
これから新たな道具を手にするかもしれませんし、逆に作業工程が洗練され使わなくなる道具/工具が出てくるかもしれません。
試行錯誤しながら、美しいコバを目指していきたいと思います。
道具を大切にし、その道具を使いこなせるようになりたいですね。