【はじめに】
「スタート2」というクロム鞣しの牛革を使用したコバ処理方法(手順)です。
現在、市場に流通している革の8割近くがクロム鞣し革です。
タンニン鞣し革のコバ処理時とは使用する溶剤も方法(手順)も異なるので、しっかりと区別して
美しいコバを目指していきましょう。
なお、コバ処理に必要な道具/工具類やコバ処理溶剤につきましては、下記をご参照ください。
【クロム鞣し革のコバ処理方法(手順)】
1.口金押さえペンチ式でコバの繊維をしめ、形を整える

コバ処理するベルトは、2枚の革を床面同士で貼り合わせたもの。
クロム鞣し革はタンニン鞣し革よりも傷が付きにくい性質を持ちますが、ペンチ跡が付かないように優しく革を挟むようにしましょう。
2.サンドスティックや耐水ペーパー(紙ヤスリ)で、コバを整える

サンドスティックや耐水ペーパーでコバにはみ出しているボンド、貼り合わせた革の段差を整えていきます。
3.ヘリ落としで、ヘリを落とす

ヤスリがけをするとヘリ(カド)が立ってくるので、ヘリ落としを使用してヘリを丸くする。
革の厚みに合わせて、ヘリ落としの刃先幅を選ぶ。
基本的に、薄い革ほど刃先幅を小さくすることが多いです。
4.トコフィニッシュ/CMC等のコバ磨き剤で、コバを軽く磨く

クロム鞣し革は基本的に、”磨く”というコバ処理方法が向かない性質を持っている革です。
しかしここでは、「少しでも繊維がまとまればいいな。」ぐらいの気持ちで軽く磨いておきます。
5.コバコート(顔料系コバ着色剤)を塗布する

コバコート(顔料系コバ着色剤)を塗布していきます。
画像のように、コバコート(顔料系コバ着色剤)が乾燥してくると、革の繊維で塗布面がボコボコになります。
ここから、一度の塗布で作られる塗膜(顔料系は塗膜ができます)は非常に薄いことが分かります。
6.コバコート(顔料系コバ着色剤)が乾いたら、ヤスリがけを行う

確実に乾燥したのを確認後、ヤスリがけを行います。
繊維によるコバのボコボコを平らにすることが目的です。
7.再び、コバコート(顔料系コバ着色剤)を塗布します

塗布直後は、その光沢から美しいコバへの期待感が高まります。
8.2回目塗布~乾燥

塗布2回目のコバコートが乾燥いたしました。
繊維のボコボコは少し解消しましたが、中央に革の貼り合わせ境界線が出ております。
9.再びヤスリがけを行い、塗布面を整えます

やはり、貼り合わせの革の境界部分に線が出来ております。
中央の線が消えるよう、丁寧にヤスリがけを行います。
10.3回目塗布

さすがに3回目は大丈夫だろうと期待を込めて乾燥するのを待ちます。
本当に、このままの状態で固まってくれたらと何回思ったことか・・・。
はやる気持ちを抑えつつ、しっかり乾燥するのを待ちます。
11.コバコート(塗布3回目)の乾燥を確認し、ヤスリがけ

3回目でようやく、繊維のボコボコや貼り合わせ中央線が消えました。
12.トップコート(つや有り)を塗布

トップコート(つや有り)は、色止めの役割も果たすと同時にコバ面を保護してくれます。
1回~2回塗布していきます。
乾燥後は透明になります。
13.トップコート(マット/つや消し)を塗布し、光沢をおさえる

最後に、トップコート(マット/つや消し)を塗布し、コバの光沢をおさえ落ち着いた雰囲気に仕上げます。
コバ処理は、コバ処理剤が乾燥していく過程が一番ドキドキします。
コバ処理剤が徐々に乾燥していき、見えてくるコバ。
はたして、美しいコバに仕上がっているだろうか?
そんな緊張感が漂う場面です。
14.クロム鞣し革のコバ処理完了

トップコート(マット/つや消し)が完全に乾燥したのを確認し、ウッドスリッカーで磨き込みます。
塗り残し部分がないかの確認や、コバの形を改めて整える検品作業を行いましょう。
特に最後につや消し仕上げを塗布した場合、塗り残しがあると下の光沢(トップコート/つや有り)が目立ちますので注意してください。
【まとめ】
クロム鞣し革のコバ処理方法(手順)は、途中のコバコート(顔料系コバ着色剤)の乾燥に時間がかかります。
乾燥が不十分だと、塗布した部分が大きく剥がれてしまいます。
顔料系のコバ処理剤は、コバの繊維に浸透し着色する染料系と違う性質をもっております。
私の認識としましては、顔料系のコバ処理剤はコバの表面に”のっける”もの。
乾燥が不十分な状態で焦って作業を進めてしまうと、塗布面が一気に剥がれる可能性があります。
そういう、クロム鞣し革のコバ処理に使用する顔料系着色剤等の性質を理解するのも、クロム鞣し革のコバ処理では重要です。
ご紹介した方法(手順)は、あくまで私のコバ処理方法です。
自分が一番上手く仕上げられる工程は人それぞれだと思います。
使用する道具や溶剤も色々ありますので、自分に一番しっくりくるものを選び出してみてください。